全米規模の展開に向け8400億円調達

 これに先立つ2024年11月、ウェイモは米西部ロサンゼルでWaymo Oneの一般提供を始めた。ロサンゼルでは、専用アプリを利用して誰もが乗車できるようになった。それまでは「順番待ちリスト」に登録する必要があった。サービス提供エリアは、ハリウッドや南カリフォルニア大学(USC)などがある市内のほか、ビバリーヒルズやサンタモニカ、ロングビーチなどを含む約200平方キロメートル。380万人以上の人口を擁するロサンゼルスは、ウェイモのロボタクシーサービスが一般公開された3番目の都市であり、そのうち最大の都市となる。

 同社が現在、自動運転技術による旅客輸送サービスを展開している都市は、ロサンゼルスのほか、同じ西部カリフォルニア州のサンフランシスコと南西部アリゾナ州フェニックスだ。

 2024年11月中旬に公表したデータによると、同社のロボタクシーサービスは現在、各都市の合計で週15万回以上の利用がある。2024年5月時点では週5万回、2024年8月時点では10万回だった。3カ月ごとに週5万回利用が増えている。

 2024年9月には、米ウーバーテクノロジーズと、南部ジョージア州アトランタ及び南部テキサス州オースティンでのサービス展開で提携したと明らかにした。この2都市のウーバーアプリ利用者は2025年初頭からウェイモのロボタクシーを利用できるようになる。提携の一環としてウーバーは車両の清掃やメンテナンスなどを担当する。

 ウェイモは、ロボタクシーサービスを全米規模に拡大させたい考えだ。2024年10月には、グーグル持ち株会社の米アルファベットや米ベンチャーキャピタル(VC)から56億ドル(約8400億円)の資金を調達した。アルファベットが、アンドリーセン・ホロウィッツやフィデリティ、ペリー・クリーク、シルバーレイク、タイガー・グローバル、ティー・ロウ・プライスなどと共に、ウェイモのシリーズCの資金調達ラウンドを主導した。これらの資金を活用して、技術開発や市場開拓を進める。

ロボタクシー市場の競争激化

 ウェイモは現在、米国の大都市圏で商用ロボタクシーサービスを運営する唯一の自動運転開発企業である。しかしこの分野は開発競争が激しい。

 米ゼネラル・モーターズ(GM)は2024年12月10日、競争激化や事業拡大に多大なコストがかかることを理由に、ロボタクシー事業から撤退すると発表した。傘下の米GMクルーズは、2023年に起こした人身事故を受け、サービスを中断していた。

 米テスラは2024年10月に開いたイベントで、自動運転の「Cybercab(サイバーキャブ)」と「Robovan(ロボバン)」のデザインコンセプトを発表した。ただ、テスラの高度運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」と標準的運転支援システム「オートパイロット」は、「部分自動運転システム」に分類されている。運転者は、常にハンドルやブレーキ操作に対応できる状況にあることが求められる。しかし、CEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏は10月の決算説明会で、2025年にもカリフォルニア州とテキサス州で、自動運転配車サービスを始めると表明した。

 このほか、ソフトバンクグループ(SBG)が出資する英国の人工知能(AI)スタートアップ、ウェイブ・テクノロジーズは、サンフランシスコで自社の自動運転車をテストしている。米アマゾン・ドット・コム傘下の米ズークスは、ハンドルやペダル類を備えない車両の公道走行試験を米国の複数都市で行っている。