デジタル革命や金融サービスの拡大にも限界

 新しい技術も創られ続けた。デジタル革命の技術はその好例だ。

 だが、経済学者ロバート・ゴードン氏がその傑作と言える書籍『The Rise and Fall of American Growth』(邦訳:アメリカ経済 成長の終焉)で論じていること――技術進歩の全体的なペースは、第2次世界大戦前に見られた進歩の幅広さやスケールに比べれば落ちている――には説得力がある。

 また全体的な生産性の伸びが鈍化している理由については、本質的に生産性を高めにくい労働集約的なサービス業の役割が大きくなっていることも挙げられる。

 20世紀と21世紀の初めには一過性にならざるを得ない経済成長押し上げ要因もあった。

 1つ目は女性の労働参加の拡大であり、2つ目は教育期間――特に高等教育の期間――の長期化という普遍的な現象だ。

 そして3つ目は、いわゆる「ベビーブーム世代」が労働力になるに連れて生じた従属人口比率の低下だ。

 英国については、欧州連合(EU)加盟からも恩恵を享受した(その後、軽率にも離脱してしまったが)。

 もう一つの一過性の押し上げ要因はインフレで、とりわけ英国の公的財政にはこれが効いた。

 物価の持続的な上昇が戦争の間に累積した公的債務の負担軽減に寄与したからだ。

 英国の公的セクターは、北海油田の石油収入や公的企業の民営化といった棚ぼた式の利益も計上できたが、いずれも使い尽くされた。

 不幸なことに、国際金融危機と新型コロナウイルスのパンデミックは、1945年当時の水準とまで行かないものの、公的債務の残高を再び押し上げることになった。

 そして最後の一過性の押し上げ要因は、英国が非常に大きな役目を担った金融業の爆発的な成長によりもたらされた。

 筆者が11月5日付のコラムで論じたように、金融バブルは「金融セクターの持続可能なサイズばかりでなく、多くの補助的活動の持続可能なサイズをも誇張していた」。

 これも繰り返すことはできないし、少なくともそう願わなければならない。