繰り返せない成長の「奇跡」
1945年以降の経済成長の「奇跡」は、特に欧州大陸と日本のそれは一度限りのものだった。
大戦後の復興、それ以前の半世紀に米国で作られた大量消費社会、新たな経済統合(とりわけ貿易の自由化)、そして改良されたマクロ経済政策と強気になった企業心理に支えられた高雇用・高投資経済がもたらした機会の賜だった。
また、1920年代の荒廃した欧州には悲劇的なほど関与しなかった米国が世界と恒久的に関わるようになったという意味で、冷戦も重要だった。
今日の高所得国には、第2次世界大戦後の好景気がこの上ない成功だったというところが多い。
欧州諸国に比べてもはるかに成長が緩やかだったとはいえ、英国もそうした国の一つだった。
1970年代の初めには経済成長がかなり幅広く、かつ大きく減速したが、米国と英国はそのダメージが最も軽かった。
これについては、その時までに両国が大きな機会をとらえることができていたからだと言えるだろう。
そして1980年代からはアジア新興国で高成長が見られるようになった。
日本と韓国が先駆けて謳歌した成長の機会を、他のアジア諸国もつかんだからだ。そのなかでも卓越した成功を収めたのが中国だった。