17日のNY市場は後半かけて円売りや欧州通貨、資源国通貨の買い戻しが優勢となった。序盤は上下動が繰り返されていたものの、方向感の無さも出ていた。特にユーロドルは下値では値ごろ感からの買いがあるものの、一方でギリシャ問題や景気回復鈍化懸念もあり、上値を抑えられていた。しかし、後半になって動きも一服してくると、株価や原油とともに買いが優勢となり、本日の高値圏で終えている。
一方、円相場も円売りの動きが優勢となり、ユーロ円は116円台、豪ドル円も86円台半ばと序盤の下げを取り戻す動きとなった。目立ったのがスイス円の動き。日本企業によるスイスの会社のM&Aが相次いで発表されており思惑を呼んでいる。東京時間に伝わっていた東芝の他、こちらも観測は出ていたが、武田薬品工業がスイスNycomed社を買収との報道がNY時間に伝わっていた。買収金額は1兆円。
◆ポンド、強いCPIも利上げ期待は高まらず
ポンドドルは後半に戻したものの、ロンドン時間の1.63台から一時1.61台に下落している。ポンド円も一時131円台に下落。
ロンドン時間に発表になった英消費者物価(CPI)は前年比+4.5%と約2年ぶりの上昇幅を記録した。英中銀も政府への弁明を発表していたが、これをもって市場は利上げ期待を再度強めるといった雰囲気までには至っていない。キング総裁は書簡で、インフレ率を目標に向けて急速に低下させる試みが生産面での望ましくない不安定を引き起こすリスクがあり、同時にインフレ率を中期的に目標を下回る水準まで低下させる確率も
高めると判断したと説明している。
その他、英中銀の中で最もタカ派として知られているセンタンス委員が5月31日で退任し、ブロードベント氏が次期委員の候補としてあがっているが、同氏はきょうの指名公聴会で、今後3-4ヵ月の間に利上げを実施するかどうかにかかわらず、インフレ率は来年末までに、目標水準の2%に戻る可能性が高いとの見解を示した。英中銀の直近の見解にほぼ沿った内容となっている。一部ではタカ派なのではとも見られていただけに、きょうの発言はやや驚きをもって受け止められていたようだ。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)