アマゾンは、フルフィルメントセンターやソートセンター(仕分けセンター)、デリバリーステーション(宅配ステーション)といった物流拠点を連携させて商品を配達している。だが、このセイムデーサイトは、これらの機能を1つに集約した小規模拠点だ。アマゾンによれば、ここでは、注文からわずか数分で商品をピッキング、梱包するなどして、迅速配送を実現している。現在、これらの拠点を活用して、米国の120以上の都市圏で当日配送サービスを提供している。

物流の地域化でラストマイル配送効率化

 アマゾンはかつて米国内の配送網を「ハブ・アンド・スポーク」と呼ばれる、集中型の全国モデルで運営していた。顧客が望む商品は例えコストがかかろうと全米規模で移動していた。だがパンデミック(新型コロナウイルスの世界的大流行)時にこの方式を改め、「リージョナリゼーション(地域化)」を進めた。全米の自社物流網を8つに分割し、地域それぞれで自己完結できるオペレーションに切り替えた。商品は顧客に最も近い倉庫から出荷し、特別な場合を除き各地域間を移動しない。

 この取り組みは成功した。「ラストマイル」と呼ばれる、倉庫から顧客宅までの商品移動距離が縮小し配送時間の短縮につながった。アマゾンによれば24年上半期における、米国内のラストマイル輸送距離は前年同期比で約10%短くなった。

地域で異なる需要を予測、AI活用

 ここで重要になるのが、地域別の在庫調整だ。そのためにはデータとパターンを分析し、商品がどこで需要があるかを予測する必要がある。これにAIを活用する。同社は機械学習(マシンラーニング)の改善を図っており、どの倉庫にどれだけの在庫を配置するかといった調達業務を効率化している。あらかじめ適所に在庫を移動しておけば、注文から配達までの時間が短縮され、かつコストも抑えられる。

 アマゾンによれば、この取り組みは順調に進んでいる。24年上半期、米国では1つの梱包(こんぽう)箱に入れる平均商品数が増えた。これに伴い配達回数を減らすことに成功した。

 アマゾンによれば、同社の顧客は豊富な品ぞろえや迅速な配送を求めている。同社は、顧客の要望に応えるため、今後も国内外で配送速度を加速させる。そのための革新と投資を引き続き行うとしている。