「太客=TO」が一人いればマイナスにはならない

 チェキとは、富士フィルムから発売されている、撮った写真がその場でプリントされるインスタントカメラのこと。ファンが1枚1000~2000円を払い、「推し」と一緒に写真を撮る撮影会は、地下アイドルライブの定番である(CDを購入してくれたファンだけ撮影という場合もある)。

「チェキの撮影代1000円のうち、アイドルの取り分は200円ほど。チェキの原価は1枚あたり80円くらいですから、残り700円が事務所の利益です」

 他のグループとの合同ライブは、50人程度のファンが集まる。ファンたちはアイドルとの関係を深めるため、競うように撮影の列に並ぶ。

 中でも列の先頭に並ぶ「鍵開け」と呼ばれるファンと、一番最後に並ぶ「鍵閉め」のファンは、最低10枚は撮影する「太客」でなければならないという、地下ならではの暗黙のルールがあるという。

「太客=TO(トップ・オタ)ってやつです。他のファンよりお金を使ってマウントを取りたいという心理ですよね。そういうファンが一番お金を落とします」

 太客のお陰で無名の地下アイドルでも、チェキだけで月に数十万円の売り上げにはなるそうだ。無給の「マネジャー」Dさんにも、チェキでは臨時収入があった。

「フィルムを大量に買うので、多い月はヨドバシカメラのポイントが5万円分くらい貯まります。2年間で20万円分は貯まりましたよ」

 ほかにもDさんには、いろいろな収穫があったという。

「地下アイドルには太客が一人いればマイナスにはならないし、5〜6人いればお小遣い程度になるとわかりました。YouTubeで稼ぐのは宝くじみたいなものです」

 Dさんはいずれ新たなアイドルを自分で発掘して、次なるタレントとして売り出したいという野望を抱いている。