地下アイドルのマネジャーのお仕事

 Dさんは早速、行きつけの居酒屋で働く20代の女性店員に「YouTubeやらない?」と声をかけた。すると、彼女は「実はまもなく地下アイドルとしてグループでデビューする」という。

 Dさんは「これは乗っかるしかない!」と彼女が所属する地下アイドル事務所の社長に、彼女たちをサポートしたいと自ら交渉した。

「社長に『給料いらないから、YouTubeを僕に任せて欲しい』と頼んだら、『それなら彼女たちのマネジャーをやって』と言われまして」

 Dさんによれば、地下アイドルには普通「マネジャー」はいないそうだ。

 彼女たちは、チケットの販売からグッズの手配まで裏方の仕事も自らやることが多い。Dさんは「いつかYouTubeで1000万円くらい稼げたら」と期待し、マネジャー業を引き受けることにした。

 Dさんが関わっているのは、歌って踊る女子5人組。渋谷、新宿、秋葉原などのライブハウスで週に数回のライブ、楽曲やグッズの販売、YouTubeやSNSでの発信が主な活動だ。

「僕は週に2〜3日、5時に一旦会社を飛び出してライブ会場へ向かい、ライブ後にまた会社に戻る日々。土日はYouTubeの撮影です」

 Dさんは彼女たちの知名度を上げようと、YouTube動画の企画、撮影、編集をすべて担当した。レンタルオフィスで動画を収録し、週1ペースで次々と配信するのだ。

「人気ユーチューバーをマネして『アイスバケツチャレンジ』とか『イヤホンガンガン伝言ゲーム』とかいろいろな企画をやりましたよ」

 しかし、YouTubeは一銭にもならなかった。

 実際、多くの地下アイドルの収入源になるのは、SNSやYouTubeではない。オリジナルTシャツや缶バッジなどを販売するライブの物販である。中でも大きな収入源が「チェキ」の撮影会だ。