シンガポールに本部を置く調査会社カナリスによると、24年1~3月期の中国市場におけるiPhoneの出荷台数は約1000万台だった。アップルは、ファーウェイのほか、OPPO(オッポ)、HONOR(オナー)、vivo(ビボ)といった中国勢にシェアを奪われた(中国のメーカー別スマートフォン出荷台数推移/出典:独Statista)。

 また、24年1~3月期におけるアップルの中国事業売上高は、163億7200万ドル(約2兆5700億円)で前年同期から8%減少。3四半期連続の減収だった(アップルの中国事業、売上高増減率推移/出典:独Statista)。

中国消費者の変化とアップルの値下げ攻勢

 こうしたなか、iPhoneの著しい回復は、中国の消費者の好みの変化も影響していると、ブルームバーグ通信は報じている。4月は通常アップルにとって販売が低調になる月であるが、24年は同国でiPhoneが再び最も人気のあるスマホとなり、買い替えへの関心が高まった。その背景にはプレミアム化のトレンドがあるという。

 ブルームバーグ通信が行った最新の調査によると、対象者の半数以上が、次のスマホに4000元(約8万7000円)以上を費やす用意があると答えた。一方で、現在この価格帯の端末を利用している人は33%にとどまる。アナリストのスティーブン・ツェン氏とショーン・チェン氏は「中国市場で縮小していたiPhoneのシェアは回復・安定していくだろう」との見方を示した。

 アップルが中国で展開している販売戦略も功を奏しているようだ。同社は中国最大級のネット通販セール「6.18セール」に合わせて、iPhoneの大幅値引きを行っている。24年2月にも値下げを実施したが、今回の下げ幅はそれよりも大きい。

 カナリスのアナリストであるレウ・チウ氏は、「(iPhone販売は)2月の値下げで勢いがついた。今回も中国メーカーへの効果的な対抗策になる」とみている。