(ウォール・ストリート・ジャーナル=WSJ「北朝鮮の核脅威に変化、在韓米軍トップが語る」、2024年3月12日付)

 以前の取り組みでは北朝鮮の核兵器開発に歯止めをかけることに主眼が置かれていたが、現在は金正恩総書記によるこうした兵器の使用を阻止することに焦点が当てられている。

 つまり、北朝鮮による核兵器の開発阻止から使用阻止への大転換の必要性を述べたものである。

 この見解は、2024年の定例米韓合同軍事演習「自由の盾」から「核作戦シナリオを含めた訓練を実施する」との両軍説明に反映されている。

 米韓両軍が3月に実施した同演習では、核使用の抑止に重点が置かれ、野外機動訓練の数は、昨年同時期に行われた演習の約2倍となる48回に拡大された。

 国連軍参加国のうちフランス、カナダ、フィリピンなどを含む12か国が演習に参加したのも異例といえよう。

 今年夏に実施される同演習では、合理的な判断ができない恐れがあると指摘される指導者の斬首作戦や「国家核兵器総合管理システム」の切断・制圧作戦、核・ミサイルの破壊作戦など、さらに核作戦シナリオを想定した訓練が強化されるものと見られる。

 わが国は、米韓両国による北朝鮮の核兵器使用阻止への方針転換を支持・後押しするとともに、日米韓による弾道ミサイル防衛(BMD)の協力体制を一層強化して、北朝鮮の核・ミサイル脅威を抑止することに注力すべきである。

 それがまた、中国への抑止力の強化に繋がるのである。