5月8日に、政府が浜岡原子力発電所の全面停止要請を行い、中部電力も受け入れを決定したことで日本の原子力事業は新たな局面を迎えた。
今後は、「最も危険な浜岡」だけを止めて原発推進の国策維持を図る経済産業省および電力会社と、浜岡の停止を将来的なエネルギー政策の転換に繋げようとする官邸との間で、双方の面子を懸けた壮絶な争いが繰り広げられるのだろう。
脱原発か、それとも原発を維持するのか?
国の基本政策を巡って侃々諤々の議論をするのも大いに結構だが、震災から2カ月が経過してもなお、福島第一原発の1号機から4号機までの4機のうち、1機の冷却化にも成功していないことを、我々は忘れてはならない。
まず達成すべきなのは、福島原発の冷却化であり、今後発生するであろう作業員の不足や作業に携わる人たちの将来的な健康問題にいかに取り組むのかを話し合う方が先だと、私は考えている。
脱原発か、それとも原発を維持するのかといった大問題は、そうした緊急にして避け得ない課題を一つずつ解決してゆく中でしか問えないのではないだろうか。
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前回のコラムで、私は首都圏で暮らす45歳以上の人々による処理作業への参加を提言した。
かなりの反響があり、私の発案を揶揄する意見もいくつかあったが、ざっと見たかぎりでは好意的な反応の方が多かったのではないかと思う。
新聞やテレビといったマスコミは、東京電力と政府の対応を批判する一方で、被災地の人々の奮闘ぶりを伝えるというスタンスを2カ月以上も繰り返している。しかし、目下の課題である原発の冷却化については、なんら積極的な打開策を示せていない。
そんな中、5月9日放送の「報道ステーション」で、<作業員や産業医が語る・・・原発「復旧作業」の“過酷”な実態>という特集があった。