12日の東京市場は、円買いが優勢になっている。日経平均は前日NY株式の反発を受けて小高くスタート。政府は原発事故賠償スキームを正式決定した。原発賠償の支援機構を設立し、電力会社が負担金を拠出する、としている。ただ、市場の反応は芳しくなかった。電気料金引き上げにつながれば日本企業の国際競争力に影響との懸念も広がった。日経平均は下げに転じた。さらに前場引け際に枝野官房長官が、政府の東電支援は債権放棄など金融機関の協力が前提、と述べたことで後場寄りから銀行株主導で売られ、日経平均の下げ幅は150円超に達する動きをみせた。為替市場ではクロス円が圧迫されている。ユーロ円は115円台半ばから114円台前半へ、ポンド円は132円近辺から130円台後半へと水準を下げている。ドル円は仲値前後に81円を巡って神経質な振幅をみせたあと、80円台後半で揉み合ったが14時ごろには再び売りが強まって80.50割れまで一段安となった。上海総合指数も寄り付き小幅高から下げに転じるなど不安定な動き。前日NY市場でのリスク選好ムードは帳消しになった。
◆韓国中銀、予想外の金利据え置き
日本時間10時に韓国中銀は政策金利据え置きを発表した。市場では3.25%への0.25%の利上げが確実視されていただけに意外感があった。このところのアジアや新興国の利上げ傾向に一石を投じた格好。韓国ウォンは対ドルで大幅安となった。ユーロなど各主要通貨にもドル買いが波及する場面があった。ユーロドルは1.42台前半から1.41台後半へと押し戻されている。ただ、この動きにはクロス円の下げの影響もあり、どの程度が韓国中銀の据え置きの影響か不透明な面もある。韓国中銀は声明で、インフレ圧力は引き続き強い、とする一方、欧州や日本が経済のリスクと指摘していた。据え置きは全会一致ではなかった、とも公表されていた。
◆仏第1四半期GDP速報値は前期比1.0%の伸び、ユーロ買いに
日本時間14時30分前に発表されたフランスの第1四半期GDP速報値は前期比1.0%の伸び。市場予想0.6%の伸びを上回った。1.42割れで推移していたユーロドルは1.4230台へと反発。114円台前半へと下落していたユーロ円も114.70近辺へと反発した。このあともドイツ、ユーロ圏の第1四半期GDP速報値が発表される予定。期待感も高まるところ。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)