当せん金の「期待値」から見る宝くじの難しさ

 このうち、まず(5)の当せん金の期待値について少し確認しておこう。

 宝くじは1枚300円だが、当せんすれば、それ以上の金額を受け取ることができる。当せんしなければ、もちろん当せん金は受け取れない。それでは、当せんする場合としない場合をすべて考えたときに、当せん金はどれぐらい受け取れるか──それが、当せん金の期待値だ。

 ある等の当せん金と当せん確率を掛け算すると、その等の当せん金の期待値となる。例えば、1等の場合、当せん金3億円と当せん確率0.00001%を掛け算して、1等の当せん金の期待値は30円となる。これをすべての等で合計すると、くじ全体の当せん金の期待値が計算できる。

 今回のハロウィンジャンボの場合、くじ全体の当せん金の期待値は140.99円であり、1枚300円のくじの半分以下だ。実は、宝くじでは、この当せん金の期待値をくじの金額の半分以下とすることが法律で定められている。宝くじで当せんして儲けようとしても、そう簡単にはできないわけだ。

ジャンボは100万円以上の当せん本数が2倍に増加

 続いて、ハロウィンジャンボの変更内容を詳しく見てみよう。2等の当せん本数5倍増と3等の当せん本数倍増を、4等1.8万本なくすことで振り替えている。また、4等の残り0.2万本をなくすことは期待値の2円減少につながっている。これにより、1ユニットあたりの当せん本数は減少となる。その代わり、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、1ユニットあたり、昨年の105本から今年は213本へと2倍に増加する。

 実は、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、昨年も1.9倍に増加していた。2年連続で2倍前後の増加となり、高額当せんに大きく比重を傾けたくじとなっている。

 ハロウィンジャンボは、平均して、くじを4万6949枚買うと、当せん金100万円以上の当せんが1本出る形となっている。その際、これらのくじから平均的に、4等が469本(当せん金140万7000円)、5等が4694本(同140万8200円)当たるので、合わせると当せん金の受け取りは、平均381万5200円に達する。ただし、そのためには、くじの購入代金として1408万4700円が必要となる。

 ハロウィンジャンボは、本命の「1等前後賞合わせて5億円」の超高額当せんとともに、2等1000万円や、3等100万円の当せんに照準を合わせた、高額当せん金狙いの宝くじと位置づけられそうだ。


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