4月9日の朝、ツイッター上で民主党の原口一博衆院議員が「容認できません」とつぶやいた。

 「コンプライアンス室長の郷原先生と『流言飛語に関するインターネット管理者に対する』総務省要請についてお話をいたしました。どのような経緯で発せられたのか? 私が知った経緯が事実ならば総務省は寧ろ防波堤の役割をしようとしたものの押し切られた形になっています」というのだ。

 これに、私は興味を持った。総務省と言えば、かつて原口議員が大臣を務めていた官庁である。そこが出した要請に関して「容認できない」というのだから、ただごとではない。

 そこで原口議員に取材を申し込んだ。

 「フリージャーナリストです」と言って政治家に取材を申し込むと、「どこの媒体に書くつもりだ」と訊かれるのが常である。先方にしてみれば忙しい時間を割いて、どこの馬の骨か分からない人間に会うなど乗り気にならないだろう。会って話しても、それがメディアに載る保証もないのだ。だから、かなりの確率で断られてしまう。媒体を決めない取材依頼だったので、正直、今回も体よく断られるだろうと覚悟はしていた。

 ところが、原口議員はすぐに日程を指示してきた。ちょっと面食らったような気持ちで、私は指定された日時に議員会館の原口議員の部屋を訪ねた。

孫社長は総務省要請に抗議してツイッター中断

 原口議員のインタビューを紹介する前に、総務省の「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する要請」(以下、「総務省要請」)について触れておかなければならない。

 ご存じの方も多いと思うが、4月6日付で電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本インターネットプロバイダー協会、日本ケーブルテレビ連盟の4者に宛てて出されたものである。

 3月11日に起きた東日本大震災に関係してインターネット上に流言飛語が流布しているという前提で、次のような「要請」が行われている。

 <東日本大震災後、地震等に関する不確かな情報等、国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、電子掲示板への書き込み等により流布しており、被災地等における混乱を助長することが懸念されます。

 つきましては、インターネット上の地震等に関連する情報であって法令や公序良俗に反すると判断するものを自主的に削除することを含め、貴団体所属の電気通信事業者等に、表現の自由にも配慮しつつ、『インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン』や約款に基づき、適切な対応をおとりいただくよう御周知いただくとともに、貴団体においても必要な措置を講じてくださいますようお願い申し上げます。>