ホリーズ(1964年)

(小林偉:大学教授・放送作家)

ロック史に残る名曲

 今年4月、日曜日の22時からの60分、テレビ朝日系に新設されたドラマ枠で、8月6日からスタートしたのが『何曜日に生まれたの?』。かつてトレンディドラマブームの火付け役の一人である脚本家・野島伸司にとって、5年ぶりの地上波連続ドラマでもあります。

 そのタイトルバックに流れる、こちらの主題歌に「アレッ?」と耳を奪われた洋楽ファンも少なくなかったのでは? 

 この曲は今から57年も前の1966年にリリースされた、ホリーズというイギリスのバンドのヒット曲。彼らは2010年に「ロックの殿堂」入りも果たしている名バンド。オリジナル・メンバーの一人であるグレアム・ナッシュがバンド脱退後、渡米し、クロスビー・スティルス&ナッシュ(こちらは1997年に「ロックの殿堂」入り)を結成したことでも、音楽ファンにはお馴染みかもしれませんね。

 さて、こちらの「BUS STOP」は、ホリーズ結成から3年目にベーシストのエリオット・ヘイドックが脱退した直後のリリース。そのため、ジャック・ブルース(後に、あのエリック・クラプトンと共に伝説のバンド、クリームを結成する名ベーシスト)が代役として参加しているんですよね。

 さらに、この曲の作者はバンドのメンバーではなく、グレアム・グールドマン(後に「I’M NOT IN LOVE」などの名曲を連発するバンド、10ccを結成)という、非常に豪華なメンバーで世に送り出され、英米で共にヒットチャート5位まで上がる大ヒットを記録しています。

 歌詞の内容も「雨の日のバス停に彼女はいた。“傘に入りませんか?”と僕は誘った。するとバスが来ても彼女は乗らず、愛が育った。僕の傘の下で夏の間中、ずっと僕らは楽しんだ。風の日も雨の日も陽の照りつける日も・・・」という詩的であり、かつ映像的なもの。何でもグレアム・グールドマンの、劇作家だった父親の話がヒントになって作られたそうです。

 ・・・とまあ、ロック史に残る名曲ではありますが、57年も前の曲にスポットを当てるところが、野島伸司ならではですよねぇ。