7月第5週に、米グーグルの持ち株会社、米アルファベットや、米マイクロソフト、米メタが2023年4~6月期の決算を発表した。それぞれの決算説明会で各社の幹部は、昨今ブームとなっている生成AI(人工知能)分野への開発投資について語った。
AIを熱く語るグーグル、マイクロソフト、メタ
米CNBCによると、アルファベットのスンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)と同社の幹部らは「AI」という言葉を66回使用した。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOと幹部らはこの言葉を47回発した。米メタのマーク・ザッカーバーグCEOと幹部らは42回用いた。
しかし米アップルはAIについて多くを語ることはしない。同社は8月3日(日本時間8月4日)に決算発表を行うが、その説明会でもおそらくAI開発に関する話を聞くことはできないだろうとCNBCは報じている。
アップルのAIに対する冷静なアプローチは、ライバル企業とは対照的だ。アップル以外の米テクノロジー大手は、あらゆる機会を捉えてこの技術について熱く語り、利用者や投資家の期待を高めている。先の決算説明会でもグーグルやマイクロソフト、メタは、クラウドサービスや開発ツール、大規模言語モデル(LLM)など、「AIのゴールドラッシュでその金鉱を掘るために必要な道具を売ることに熱心だった」(CNBC)。
例えば、グーグルはAIモデルを使用して検索エンジンを刷新する計画を明らかにしている。23年5月に開いた年次開発者会議では、生成AI機能を搭載した検索エンジン「Search Generative Experience(SGE)」を披露したほか、生成AIサービス「Bard(バード)」を一般公開した。
マイクロソフトの取り組みの1つは「Microsoft 365 Copilot」だ。これは、Officeソフトウエアや電子メール、チャットなどを含むSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)に、提携する米オープンAIの「GPT-4」を基にしたLLMを組み込んだものだ。
メタのAI分野への投資は、「Llama 2」と呼ばれるLLMだ。これはSNS(交流サイト)における新たなチャットボットの基盤や、ネット広告の自動生成に活用される可能性がある。
ただ、各社の幹部らは、これらの取り組みやAI製品の展開にはしばらく時間がかかる可能性があるとも説明した。CNBCは、「AIが彼らの最も重要な製品をどのように変えるか、そしてそれが財務諸表をいつ強化し始めるかはまだ明確ではない」と指摘している。