(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
「ウクライナ国内での戦闘がこのまま今のような一進一退で続くと、時間の経過はロシアのプーチン大統領にとって有利となる」という見解が、米国政府の元国務長官と元国防長官により発表された。
両元高官は在任中にプーチン氏と直接折衝した経験がある。その経験に基づき、プーチン氏がロシア帝国再興のためにウクライナ制圧を自らの歴史的使命とみなし、米欧諸国のウクライナ支援の衰えを時間をかけて待つ覚悟を持っているという考察を明らかにした。
同高官たちは、この暗い展望を打破するためには米国などがウクライナへの軍事支援を一気に拡大し、ウクライナ軍が早い時期にロシア軍に大きな被害を与えることが必要だと提唱した。
プーチン氏と直接折衝した経験を基に提言
米国のコンドリーザ・ライス元国務長官とロバート・ゲーツ元国防長官は共同で1月7日、「時はウクライナ側を利さない」と題するオピニオン記事を米国大手紙ワシントン・ポストで発表した。
ロシアのウクライナ侵略の展望はこのままの戦闘状態が続くと、ロシアのプーチン大統領にとって有利な見通しとなる。ウクライナ側がその状況を崩すためには早期に大規模な軍事攻勢に出てロシア側に手痛い被害を与えるべきである、という提言だった。