「やだなぁ、なんでおいらの名前を知っているの?」と、その場でひっくり返って、四肢を上にあげてバタバタ。肩甲骨を動かしながら、この格好で地面を移動していました。恥ずかしいのかうれしいのか、ただ背中が痒かっただけなのかもしれません。

 猫の気配を感じて暗い通路を入ってみると、そこは、ショッピングセンターの駐車場でした。暇を持て余すかのように横座りした猫は、とても利発そうな顔つきをしています。

「こんにちは、賢そうできれいな猫ちゃん。お友だちはいないの? ひとりぼっちじゃないよね」などと、つい話しかけていました。

 すると、「よしわかった」というように駐車車両の上に乗り、小さく「にゃーん」と鳴きながら、後ろ足で喉元をカリカリ掻きました。あとで気がついたのですが、喉元をカリカリ掻いたことで、この猫のにおいが拡散し、他の猫たちが安心することにつながったのだと思います。しばらくすると……