中国・北京のPCR検査会場(資料写真、2022年8月23日、写真:AP/アフロ)

(馬 克我:日本在住中国人ライター)

 最近、私の日本人の友人が経験した話である。

 彼の中国人同僚の家族が新型コロナウイルスに感染したが、病院ですぐには診察してもらえない状況だった。彼はその状況を見て、社内の中国人同僚たちに「新型コロナウイルスに罹患した時のため、病院で処方される薬と同じ成分の市販薬を常備しておくと良い」と言って、ウェブサイトに掲載されている市販薬リストを教えてあげたという。

 すると、中国人同僚の1人が、「駐日中国大使館に連絡すれば、『連花清瘟(れんかせいおん)』をもらうことができる」と言ったそうだ。

 そこで友人は私にこう聞いてきた。「連花清瘟とは、一体何なのか?」

中国政府が推奨する「連花清瘟」は特効薬か?

「連花清瘟」とは、中医薬(中国の伝統医学に使われる薬)の1つである。2003年、中国でSARS(重症急性呼吸器症候群)が爆発的に感染蔓延した時期に、民間医薬品メーカー「以嶺薬業」が抗SARS薬として開発したが、SARSはすぐに収束したため、その後は、発熱や咳、喉の痛みなどを抑える風邪薬として市販されていた。

市販されている連花清瘟 (れんかせいおん)カプセル