6月下旬、東京ビッグサイトで開催された「“日本の食品”輸出EXPO」。海外のバイヤーなど3日間で約1万9000人の来場者があり大盛況だったが、生鮮品、日本酒、抹茶などさまざまな日本食品が展示されている会場の一角に「冷凍お好み焼」が展示されていた。広島に本社があるオタフクソースのブースだ。
スタッフの方に話を伺うと、アメリカ・ニューヨークでは電子レンジでチンして食べられているという。“粉もん”が海外でも愛されているのか──。その事情を探ってみた。
お好み焼、たこ焼の専門店もあるニューヨーク
ニューヨークでは年12回、計15万人の来場者がある「ジャパンフェス」という世界最大規模の日本のフードフェスが開催されている。日本の食をはじめアートからエンタメまで、日本の文化をニューヨーカーに楽しんでもらおうというイベントだ。
今年7月に開かれたチェルシーの会場には、アジア系だけでなくローカルのさまざまな人種の客が集い、1万5000人以上が詰めかけた。おむすび、ラーメンといったポピュラーなブースはもちろん、お好み焼、たこ焼、焼そばといった粉もん文化のブースにも長蛇の列ができていた。同フェスでは、9月には粉もんを中心とした「KONAMON FES New York」の開催が予定されている。
粉もん文化の広がりはフェスだけではない。ニューヨークにはお好み焼やたこ焼の専門店があるほか、ニューヨーク初の広島風お好み焼のデリバリーサービスも登場した。
オーナーは広島市出身の女性で、留学先のニューヨークから帰国後、地元で就職したが、その後再びニューヨークに渡り、33歳で起業。10年以上前からイベントの屋台などでお好み焼を販売してきて、昨年12月、クイーンズのサニーサイドでお好み焼のデリバリーとテイクアウト専門「OCONOMI」を始めたのだ。
サイトには「私たちはお好み焼きを通じて、食べるものを通して幸せで楽しく、調和のとれた生活が送ることができるニューヨークのフードコミュニティの創造に私たち自身の小さな方法で貢献するよう努めています」とのメッセージが掲載されている。
お好み焼、たこ焼、焼きそばなどの粉もんメニューの認知度は、寿司、てんぷら、ラーメンに比べると、まだまだ低いのが実情だが、デリバリーが登場するだけの土壌はできてきているということだ。そんな粉もん人気についてニューヨーク在住のライターがこう語る。
「お好み焼の店はOkonomiyakiの表記ですね。ジャパニーズ・パンケーキと言ったりスーパーではJAPANESE CABBAGE CAKES(キャベツケーキ)という表記も見かけたりします。オタフクソースの冷凍製品も売られていて、お好みソース、鰹節、青のりが入っていて、調理法は電子レンジなら4分となっています。
フェスの屋台では、お好み焼もたこ焼も本当に大人気で、長い列ができています。並んでいる人に話を聞いたら、日本を旅行して大阪や広島で食べて好きになった、日本の漫画を見て食べてみたいと思った、ソースの香りに惹かれた、トッピングが多彩で楽しい、寿司に比べて安くてお腹がいっぱいになる、といった反応がありましたね」
まだまだマイナーな存在ではあるが、日本のB級グルメの味と文化は、地道に浸透し始めているようだ。