(平田 祐司:香港在住経営者)
8月12日から、香港入国時に課せられるホテルでの強制隔離が、それまでの1週間から3日に短縮された。到着日翌日から起算して3日なので隔離期間はホテル3泊となる。
6月末までは最長3週間ものホテル隔離が強制されていたことに比べれば大分緩和されたが、それでも入国時の隔離がなくなった日本や韓国に比べて入国へのハードルは依然、高い。
筆者が実際に経験した香港入国時の検疫手続きや隔離状況を解説しながら、香港の生命線ともいえるヒト・モノ・カネの自由往来を制限している現状をみてみたい。
ゴーストタウンと化していた香港国際空港
7月に日本に一時帰国、8月に韓国出張と、2年半にも及ぶ香港軟禁状態から晴れて人的往来を制限する香港での出入国を2回経験した。
7月と8月の香港出入国手続きでは、まず出国については搭乗手続き時にPCR検査陰性証明が必要なだけで当然検疫はなく、必要書類のチェック等で多少チェックインに時間がかかることを除けば、スムーズに出国可能だった。
しかし、驚いたのは2年半ぶりとなる空港の閑散ぶりだった。
かつては全世界と結ぶフライトがひっきりなしに発着していた香港国際空港は、ゴーストタウンのように静まり返っていた。その日に香港から出発する便数はわずか22便。フライトスケジュールを表示する電光掲示板は全体の4分の1にしか表示がなく、残り4分の3は真っ黒な画面のままだ。
世界220都市を結び、1日の発着回数が1000を超える世界有数の国際空港は死んだように静まり返り、ほとんどの免税ショップやレストランはシャッターを閉め、わずかにいる防護服をまとった係員は手持ち無沙汰にたたずんでいた。アジア有数のハブ空港の無残な姿に、大きな衝撃を受けた。
免税ショップやレストランでの売上も雇用もすべて失われたことの経済的影響は計り知れない。