9日の東京市場は、先週後半の急激な円高・ドル高・ユーロ安などの動きが一服する落ち着いた展開だった。ドル円は朝方80.84レベルまで上昇したあとは80.50-60レベルでの取引になった。ユーロドルは1.43台半ばが底堅く、1.44近辺へのジリ高の動き。ユーロ円は116円挟み、ポンド円132円挟みでの小動きに留まっている。先週は111ドル近辺から94ドル台まで急落した原油先物も週明けの時間外取引では98ドル台後半へと反発。ポジション調整色は緩和されている。豪ドル円は86円台前半から後半へ、カナダ円は83円台半ば後半へと水準を上げる動きになっている。アジア株は前週末の米雇用統計を受けて米欧株式が買われたことから堅調。一方、日本株は政府が浜岡原発の停止要請を行なったことをうけて中部電力株が売られるなど不安感から下げている。リスク選好ムードまでは醸成されていないようだ。

◆海外市場待ちのムードも
東京市場は落ち着いた値動きだったが、安堵感よりも海外市場の出方を見極めたいとの慎重ムードもあった。前週末のNY市場ではギリシャのユーロ離脱観測の報道がユーロ相場を押し下げた。週末には、ノボトニー・オーストリア中銀総裁が、高債務国のユーロ圏からの脱退はありえない、と報じられたり、オズボーン英財務相が、ギリシャはユーロ圏から追加支援が必要となる可能性、と述べるなどギリシャ関連の報道が相次いでいる。独紙によると、ドイツ野党の社会民主党議員からは、ギリシャの債務再編を指示する意見もでているようだ。当局者の多くはユーロの悪材料に対する火消しに躍起になっているが、ロンドン市場の反応はどうか。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)