路上ごみの調査データは、清掃活動にもインパクトを与える(写真:アフロ)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「ごみ問題、ITと科学技術で解決を!〜「流出ごみの地産地消モデル」で地域産業の振興目指す〜」を再構成したものです。

小嶌不二夫 株式会社ピリカ代表取締役/一般社団法人ピリカ代表理事
聞き手 小田理恵子 Public dots & Company代表取締役/官民共創未来コンソーシアム代表理事

 前編に引き続き、「株式会社ピリカ」代表取締役・小嶌不二夫氏のインタビューをお届けします。今回はピリカ社が展開する他の解決策(ソリューション)について、お話しいただきます。

前編
海洋プラごみ問題、スマホアプリがもたらした社会の変化とは
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70937

路上ごみの分布状況を「見える化」

小田 前回は会社設立のきっかけとなったごみ拾いSNS「ピリカ」を中心に、ITやデータを活用してごみ問題を解決に導く取り組みについて伺いました。ごみの流出量や回収量は、実はこれまで詳細な定量化がされておらず、実施した環境対策が本当に効果があったのか、確かめ切れない状況だったというお話は大変興味深いものでした。

 ごみ箱の設置が本当に地域のクリーンアップにつながるのか。どの地域の美化活動に行政の資源(リソース)を投下するのが最適か。これらはすべてデータを基に議論すれば、有効な環境対策の実施につながります。

 さて、そんなデータドリブン(データに基づいた企画や戦略の立案・実行)な環境問題克服活動を続けるピリカ社ですが、今後、特に力を入れたいことは何ですか?

小嶌氏 やりたいことはたくさんあるのですが、今は路上ごみの分布調査に関する世界共通基準をつくりたいと思っています。

 弊社のサービスに「タカノメ」があります。専用のスマートフォンで路上を撮影し、そこに映ったごみの種類や数を画像解析で読み取り、分布図にするものです。撮影したエリアの美化状況が可視化され、他地域との比較や美化活動の提案などに用いることができます。

「タカノメ」は、調査範囲を歩いて撮影する「徒歩版」の提供からスタートし、今年1月からは広域の調査にも対応できるよう、撮影用スマホを車両に取り付けて車道を調査する「自動車版」の提供を始めました(写真)。それを地方自治体の公用車やごみ収集車、物流企業の車両などに導入いただきながら、調査を拡大しているところです。

 路上に落ちているごみの調査は非常に大切です。道路脇の水路などをたどり、いずれは海に流出する懸念があるからです。海洋ごみの8割は陸由来ですから、特に水はけがよく、ごみが自然界に流出しやすい道路のごみ対策は重要になってきます。