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(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 小麦価格が急騰している。これまで1ブッシェル(約27.2kg)5ドル程度であったが、直近は10ドルを超えている。高騰のきっかけはロシアのウクライナ侵攻にある。市場はロシアとウクライナからの輸出が激減すると予測している。

 図1に世界の小麦輸出量を示す。現在、世界では約2億トンの小麦が輸出されている。世界の生産量は約8億トンであるから、生産した小麦の約2割が輸出されていることになる。ちなみに我が国は昭和の中頃から毎年約500万トンの小麦を輸入しているが、現在、それは世界の輸出量の2.5%に過ぎない。

図1 世界の小麦輸出量(単位:100万トン/年、データ:FAO)

 小麦の多くはロシア、米国、カナダ、フランス、ウクライナ、アルゼンチンから輸出される。その中でもロシアからの輸出は3700万トンと最も多い。次が米国の2600万トン。ウクライナは1800万トンである。ロシアとウクライナの合計輸出量は世界の輸出量の28%にもなる。もしこれがなくなれば、世界の小麦市場は混乱する。