バイデン政権の目玉政策のひとつである総額1兆ドル(約110兆円)のインフラ投資が議会で可決された。バイデン大統領は11月15日に署名する見通しであり、巨額の財政出動が実現する。この大型投資によって米国の長期的な成長が高まると期待されるが、日本国内ではインフラ投資に関する議論は高まっていない。(加谷 珪一:経済評論家)
ニューディール政策に匹敵する水準
バイデン政権はコロナ対策と次世代の成長促進を目的に、発足当初から超大型の財政出動を提唱してきた。当初は野党共和党との調整が難航し、法案の成立を危ぶむ声もあったが、共和党の一部から賛成を取り付けたことで議会通過の目処が立った。
総額1兆ドルのインフラ投資は、過去数十年間では最大規模であり、金額の計算方法にもよるがF・ルーズベスト大統領が実施した「ニューディール政策」にも匹敵する水準だ。
今回の計画には、道路や橋梁、鉄道、港湾など従来型インフラの刷新に加え、EV(電気自動車)やAI(人工知能)といった新技術への投資が含まれている。しかも、一連の項目は独立したものではなく、すべてセットになっていると考えた方がよい。