「ねむリウム」に登場したオオサンショウウオ(すみだ水族館/京都水族館PR事務局提供)

 コロナ禍での感染対策のために多くの動物園や水族館が休園を余儀なくされ、収入源という苦境に立たされた。これらの施設は来場者の有無に関わらず、餌代、電気水道費や施設管理費、飼育員の人件費など生き物の生命を維持するための経費は削ることができない。そこで始まったのがインターネットを使った動画配信や、オンライン・イベント開催などの新しいコンテンツ提供だ。

 SNSでの写真や動画配信やYouTube等での番組配信では、広告収入や投げ銭、クラウドファンディングといった新たな収入を得るだけでなく、各地の動物園や水族館を身近なものにもしてくれた。遠方の施設にいる生き物の名前や個性を知ることもできるし、生態をじっくり調べることもできる。飼育員から詳しい説明を受けられるコンテンツでは、飼育員の仕事そのものや人柄にも触れられる。

 筆者は生き物好きなのだが、動物園・水族館になかなか足を運ばないタチで、コロナ禍によってネット上に様々な生き物の情報が増えたことを密かに喜んでいた。この恩恵にあずかれたのは動物園・水族館の苦境があってのことなので、有料コンテンツやイベントにも積極的に参加している。その中で「コロナ禍での苦肉の策」だけでなく、インターネットならではの特質を生かしたイベントがあったので、ご紹介したい。

日常生活に水族館

 オリックス水族館株式会社が運営する京都水族館/すみだ水族館では、「水族館の存在を毎日の日常生活の中でも感じてほしい」と、自宅で楽しめる参加型ライブ水族館「まいにち水族館」(https://www.kyoto-aquarium.com/mainichi-aquarium/)というオンラインのコンテンツ提供を始めた。

 第一弾のコンテンツは京都水族館から配信された。「オオサンショウウオの日」である9月9日の22時から24時にオオサンショウウオ水槽をライブ配信し、その映像を見ながら寝落ちしようという睡眠導入ライブ中継「オオサンショウウオとねむリウム」。

「ねむリウム」のサイト(すみだ水族館/京都水族館PR事務局提供)