「イカゲーム」予告編のスクリーンショット

(羽田真代:在韓ビジネスライター)

※以下の記事には、ネットフリックスのドラマ「イカゲーム」の内容が含まれています。ネタバレを望まない方はドラマを見てからお読みください。

 韓国の黄東赫(ファン・ドンヒョク)監督が手掛けたネットフリックスのドラマ「イカゲーム」が、80カ国以上で人気ランキング1位を記録する大ヒットを飛ばしている。韓国発のコンテンツとして史上初の快挙だ。

 このドラマは公開と同時に、「『GANTZ(ガンツ)』のパクリだ」「『神様の言うとおり』のパクリだ」と、日本の漫画・映画コンテンツとの類似性があちらこちらで指摘されている問題作である。これら映画を見たことのある筆者にはおおよその筋書きが想像できる。

 また、制作における雑さも指摘されている。

 ドラマ内に登場する名刺に書かれた電話番号は実在した番号であり、電話番号の保有者にはいたずら電話が殺到した。ところが、ネットフリックスと韓国の製作会社サイレン・ピクチャーズは被害者に金銭的な補償は一切行わず、対処といえばドラマ内の電話番号を架空な番号へと変更しただけだった。

 制作側の不十分な下調べと対処法は韓国らしく、このようなドラマを視聴したいという気持ちが起きないというのが正直な感想だった。しかし、公開開始後、中間で浮上した小競り合いを見て、俄然イカゲームに関する興味が湧いた。公開開始まもなく、中国でイカゲームの違法ダウンロードが発覚し、韓国外交部が中国側に問題提起する異例の事態にとなったからだ。

 しかも、これに便乗するかのように、反日活動家で知られる誠信女子大学の徐坰徳(ソ・ギョンドク)氏が自身のSNSで、

「中国でも違法ダウンロードが盛んだ。ショッピングアプリに至っては、ドラマで着用された緑のジャージに『中国』という文字を付け加えたものを販売している。モデルとして使っている主人公の写真の無断使用だ」
「中国のネットユーザーは他国の文化に対する尊重を先に学ばなければならない」

 と、中国の違法ダウンロードおよびグッズ販売について苦言を呈したからたまらない。

 その上、彼の批判は早合点で、ショッピングアプリに掲載されていた写真は韓国のパクリではなく、中国の有名俳優によるものだった。さらに、「2年前の中国の運動服をイカゲームが真似をした」と中国人から相次いで指摘され、SNSの投稿を早々に削除した。その後、韓国メディアのインタビューに対し「写真や表現に誤解があったため修正しようとしたが、反映されなかったことから投稿を削除した」と苦しい言い訳を述べている。

 果たして、韓国は中国に対して「他国の文化に対する尊重を」と指摘できる立場なのか。「イカゲーム」に対する興味が湧いた筆者はさっそくネットフリックスをダウンロードして視聴した。ここにその感想を綴りたいと思う。

 なお、これから先にはドラマの内容が登場することをお断りしておく。ドラマの視聴を考えている方は、先にドラマを見た方がいいだろう。