ミャンマー軍事政権のトップ、ミン・アウン・フライン将軍(写真:Abaca/アフロ)

 ミャンマーで軍による反軍政を掲げる国民への残虐な行為が激しくなっている。村人24人が兵士によって虐殺された事件の他にキリスト教の牧師が殺害され、尼僧が逮捕されるなどの報告が独立系メディアなどを通じて伝えられている。

 これは武装蜂起に立ち上がって各地で軍と衝突し、激しい戦闘を続けている武装市民や国境付近の少数民族武装勢力とは別に普通の市民、宗教関係者が犠牲者になるケースが増えていることを示し、ミャンマー情勢がさらに厳しい事態に陥っていることを浮き彫りにしている。

 こうした事態の悪化に対し、国連や欧米をはじめとする国際社会、東南アジア諸国連合(ASEAN)といった地域連合もほとんど有効に対処することができず、ミャンマーは孤立しており、問題の解決に向けた糸口さえみえてこない。

 軍の人権侵害、弾圧は苛烈さを増し、抵抗する市民そして一般市民の犠牲は増え続けている、それが今のミャンマーの偽らざる姿である。

民間人少なくとも24人を虐殺

 米政府系ラジオ局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」によると、9月9日と10日の2日間、中央ビルマのマグウェ管区ガンゴータウンシップにあるミンタール村など3つの村に軍の部隊が侵入し、民家に放火するとともに村人を拘束、暴行そして殺害し、これまでに少なくとも24人が遺体で発見されたという。

 特にミンタール村では武装市民抵抗組織である「国民防衛隊(PDF)」のメンバーを探し出す目的で、軍兵士が民家11軒に放火、さらに村人の男性を尋問のために拘束し、拷問したり殺害したりした。その結果、70歳代の高齢男性から16歳の高校生まで19人が犠牲となった、と目撃者が証言した。