アフガニスタンから撤退し米国ニューヨーク州のフォート・ドラム陸軍基地に到着した米軍兵士たち(2021年9月6日、写真:ロイター/アフロ)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格は1バレル=60ドル台後半で堅調に推移している。

 足元の原油価格を下支えしているのは、8月末に米ルイジアナ州に上陸した大型ハリケーン「アイダ」の影響だ。米メキシコ湾の海上油田の操業が停止し、同海域の7割以上に相当する日量約140万バレルの原油が消失したままの状態が続いている。

 ハリケーン襲来以前の米国の原油生産量は日量1150万バレルだった。財務体質の改善を迫られるシェール企業が探鉱投資に慎重であることや熟練労働者の不足などの影響で生産量は微増にとどまっていた。

原油価格下落の要因

 次にOPECの動向だが、8月の原油生産量は前月比21万バレル増の日量2693万バレルと昨年(2020年)4月以来の高水準だった。サウジアラビアの生産量が18万バレル増加した。

 OPECと非OPEC主要産油国で構成されるOPECプラスは9月1日、引き続き生産量を月ごとに日量40万バレルずつ増加させることで一致した。前回の会合ではアラブ首長国連邦(UAE)が協調減産の延長に反対し、交渉が一度決裂したが、今回は1時間足らずで終了した。次回会合は10月4日に開催される。

 バイデン米政権は8月、国内のガソリン価格の高騰を警戒し、OPECプラスに増産を要請したが、今回の閣僚協議で7月に決定した方針が変えられることはなかった。