(吉野 沙耶香:ニューヨーク在住ライター)
「アヤワスカ」という言葉を聞いたことある方はいるだろうか。
アヤワスカ(Ayahuasca)とは、南米のペルーからブラジルまでを流れるアマゾン川に生えている植物の根を他の植物と煮出し、お茶として飲まれるもので、先住民の儀式で薬として飲まれている。
アヤワスカに入っているDMT(N,N-Dimethyltryptamine)という成分に強い幻覚作用があり、一部のキノコや植物に含まれている。いわゆるサイケデリック(精神展開薬)と呼ばれる種類のものだ。
こう聞くと、かなり危ないもののように聞こえるが、ペルーのシピポ族などのシャーマンが神聖な薬(メディシン)として処方し、実際にうつ病、アルコール中毒、ドラッグ中毒などの治療として使われている。
特にペルーでは国家文化遺産となっており、今でもセレモニー(儀式)で使用されている。アメリカでも使用を許可されている、ネイティブアメリカン系の教会がある。
DMT自体を規制する国は少なくないが、国連の国際麻薬統制委員会はDMTを含む植物や茶を規制対象としていない(参考)。
私が最初にアヤワスカという言葉を耳にしたのは、コロナが蔓延する数年前、ずっと髪を切ってもらっている日本人美容師さんからだった。なぜそんな話になったかは覚えていないが、最近アメリカ人に密かにブームとなっていて、彼女も南アメリカでそのセレモニーに1週間泊まり込みで参加した。
その時、ちょうど田口ランディさんの『コンセント』と言う小説を読み返し、シャーマンにとても興味があった私は、詳しく話を聞いた。
彼女はその後、シャーマンを目指すことになるのだが、その時の旦那さんと参加した。元来、真面目な彼女は準備のため、とても厳しい食事制限をしたという。