東京・台場にあるフジテレビ本社(出所:写真AC)

(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)

 戦国時代は本能寺の変(1582年)における明智光秀をはじめ、家臣が主家に牙を向く反乱が各地で相次いでいました。武力で権力を奪いにいく、まさにクーデターです。

 では、平和な現代日本において、こうしたクーデターはもはや過去のものなのか。

 実は表に出てこないだけで、多くの企業で、熾烈な派閥抗争や下克上の類は今でも少なくありません。特に大企業においては、戦国時代のような武力の行使はないものの、社長や会長職を巡る抗争や裏切りが時にドラマチックな展開を見せることもあります。

 そこで今回は、過去に日本で起きた著名な社内クーデターの例として、フジサンケイグループ、富士通、積水ハウスの事例を紹介したいと思います。なお文中では敬称を省略し、役職名などは当時のものを主に使用しています。

フジサンケイグループの鹿内家追放

 1980年代から90年代初頭にかけて、日本のテレビ業界はフジテレビを中心に回っていました。当時のフジテレビは視聴率も圧倒的首位で、まさに黄金期を迎えており、その影響力は現在とは比べられないほど大きなものがありました。