6月25日、中外製薬は同社が開発した抗リュウマチ剤「アクテムラ」が、米国FDAから新型コロナウイルス感染症「治療薬」として緊急使用許可を取り付けた、と発表しました。
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021062500602&g=eco)
また6月29日には、抗体製剤「カシリビマブ」と「イムデビマブ」の「カクテル療法」剤について、新型コロナ治療薬としての製造販売承認の申請を厚生労働省に行ったと発表しています。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/c272c36cb54e6b004d811637d3409e836185e6f7)
相次ぐ動きで株価などにも動きがあるようですが、これは別論としましょう。
これらに先立つ6月上旬、東京大学医科学研究所・井上純一郎教授のチームからも新型コロナウイルスの治療薬として「フサン」こと「ナファモスタット」がインド型(あるいはデルタ型)などの変異株にも有効とみられることが発表されています。
(https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000218222.html)
ただしフサンについては6月16日、第一三共製薬から、開発を進めていた吸入製剤の中止(https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=71289)も発表されています。なかなか一本道で順調にはいきません。
さて、これらの薬はみな、報道では一律「新型コロナ治療薬」と記されますが、その性格は大きく異なります。
最初に挙げた米国FDAが緊急許可した薬は、すでに本連載でもご紹介した「サイトカイン・ストーム」を防止するものです。
インターロイキン6(IL6)というサイトカインの暴走を抑えるもの。
(https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf833c.html)
つまり「新型コロナ」ウイルスとは本質的に無関係な、私たちの体の中の物質バランス崩壊を食い止める「重症化」した患者さんへの治療薬になります。