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 GAFAに代表される「巨大IT企業」に対してなんらかの規制が必要か。必要であるなら、どのようなものにするべきか。世界各国が頭を悩ませている大きな課題だ。

 日本でも徐々に規制の枠組みづくりが進んでいる。国内ではあまり目立っていないが、実は各国は日本のやり方を注視している。その枠組みの概要と、現在の進行状況をお伝えする。

根幹にある「デジタルプラットフォーム取引透明化法」

 もっとも最近の動きは、デジタル広告に関するものだ。2021年4月27日、政府のデジタル市場競争本部が「デジタル広告市場の競争評価」という報告書を公表した。デジタル広告市場の健全な発展のために、事業者に対して適用するいくつかのルール整備を求めている。

 これは「デジタル広告」規制という単独のものではなく、デジタルプラットフォーム上での事業に対する多様な規制の枠組みの一つと捉えた方がいい。

 枠組みの根幹にあるのが、2020年5月に成立した(施行は2021年2月)「デジタルプラットフォーム取引透明化法」(以下「取引透明化法」、正式名は「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」)。デジタルプラットフォーム提供者に対して、取引条件の情報開示、運営の公正性確保、運営状況の報告(年1回)などの義務を規定している(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digitalplatform/)。

 取引透明化法は、全体の大枠を規定しているだけで、対象となる事業、細かな項目や方法、措置の指針などは、政令、省令、指針(ガイドライン)で定めている。したがって、今後対象事業の追加や項目の変更などを行う場合、政令などで対応し、法改正をしないでいいようになっているところがミソだ。

今回新たに「デジタル広告」が追加された

 最初に指定された事業が「オンラインモール」と「アプリストア」だ。オンラインモールで対象となるのは国内売上額3000億円以上の事業者で、具体的なモールはAmazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピングの3つ。アプリストアで対象となるのは国内売上額2000億円以上の事業者で、具体的なストアはApp Store、Google Playストアの2つ。これらに対して、情報開示、体制整備、報告書提出が義務づけられる。
https://www.meti.go.jp/press/2020/01/20210126002/20210126002.html
https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210401003/20210401003.html

 そして、「デジタル広告」がその次の対象事業となった、というのが、今回公開された報告書の位置付けである。