一度すっきり下がった方が4万円を目指しやすい

 ──前回、「日経平均株価は2万2000円~2万4500円まで調整する可能性も」とおっしゃっていました。この見立てにも変わりはありませんか?

 エミンさん はい。現在の相場は、経済の正常化が進まないまま、流動性と期待だけで上がっています。本格的に上昇するのは、新型コロナを克服して景気回復していくことがきちんと確認できてからでしょう。

 先ほど言ったように、日銀がETF購入の目安を削除しただけで2000円も調整しています。2万2000円~2万4500円と聞くと「そんなに下がるのか」と思うかもしれませんが、昨年11月にはまだ2万3000円でした。5000円くらいの調整はあっという間に起こるでしょうし、逆に言えば現在の3万円もそこまで大した上昇ではありません。一度すっきり下がった方が4万円を目指しやすいと思っています。

 これから投資を始める人、まとまったお金が入って株を買っていこうと思っている人は、良いエントリーポイントがやってくるのを待つのが安全な投資戦略だと思います。すでに投資している人はいったん利確してキャッシュを増やしておくのも手です。来るべき調整に備えて、チャンスを待ちましょう。

「脱炭素」「5G」「DX」に加え、「防衛」も長期有望

 ──同じく前回、注目のテーマとして「脱炭素」「5G」「DX」を挙げていただきました。これらに加えて有望なテーマはありますか?

 エミンさん 防衛産業も長期の優良テーマだと思います。今は割安な銘柄も多く、相場のサイクルに関係なく長期的に上昇が期待できます。前回挙げた3テーマも引き続き注目です。脱炭素では水素関連などが引き続き上がっていますね。「国策に売りなし」と言われる通り、これからも盛り上がると思います。

 少し注意が必要なのは景気敏感株や半導体関連株。すでにかなり買われて、ダウンサイドのリスクが高まってきています。順張りで付いていくのもいいですが、いつ崩れてもおかしくありません。撤退の準備はしておいた方がいいでしょう。

 ──1つのテーマの中でも関連する銘柄は本当にたくさんあります。経験が浅いとつい有名な会社に注目しがちですが、どう銘柄を選べばいいですか?

 エミンさん 誰もが知っていてテーマにど真ん中の会社はすでに買われていることが少なくありません。「皆がまだ気づいていないけど実は脱炭素関連」みたいな銘柄を探し出せればベストです。

 会社四季報オンラインのキーワード検索などで探して、テーマとどう関係するのか考えられるといいですね。割安度は、PBR(株価純資産倍率)やPSR(株価売上高倍率)に注目しましょう。PER(株価収益率)はそれほど気にする必要はありません。