(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
米国のハーバード大学教授が日本の慰安婦について書いた論文が国際的な波紋を広げている。
同論文は、戦時中の日本軍のための慰安婦たちは契約に基づいて商業活動として売春をしていたと結論づけ、その契約の内容に光を当てていた。つまり、米欧や韓国の一部の学者たちによる「日本軍の慰安婦は強制連行された性的奴隷だった」とするこれまでの説を真っ向から否定する論文だった。
この論文に米国や韓国の一部の学者が集団で抗議し、論文の出版を妨げる運動を開始した。この騒ぎに対して日本政府の萩生田光一文科相が3月下旬、公式の場で出版阻止の動きに明確な反対を表明した。
日本政府としてこの種の外国の民間での動きを論評することは珍しい。慰安婦問題に関して外国で流布する虚偽の言説を排そうとする積極的な姿勢が日本政府にも出てきたと言えそうだ。
ラムザイヤー論文批判の急先鋒は
いま国際的な論議を集めているのは、ハーバード大学教授の法学者マーク・ラムザイヤー氏による「太平洋戦争における性契約」と題する論文である。