29日のNY市場、全体的にはドル売り優勢の雰囲気が根強かったものの、ユーロに関しては利益確定売りが優勢となった。特に対ポンドでのユーロ売りが圧迫したようだ。ここ数日、月末に絡んだ実需のユーロ買い・ポンド売りが強まっていたことから、月内最終売買日である本日のロンドンフィキシング(日本時間0時)を通過後、巻き返しの強まっている。ユーロ自体にかなり過熱感が出ていたことも、利益確定売りに繋がったと見られる。来週はECB理事会も控えており、調整のタイミングだったようだ。一方、豪ドルやカナダといった資源国通貨は商品市場の高値更新を追い風に堅調な動きを続けている。

ドル円は米経済指標の結果を受けて、米国債利回りが上昇したことから、強含む場面も見られたが、結局、戻り売りに押され、一時81.00付近まで値を落とす動きとなった。

◆カナダは強い動きを維持 月曜日は総選挙
カナダは強い動きを続けている。NY時間の朝方に発表になったカナダの月次GDP(2月)が前月比でマイナスとなったことから、序盤はカナダは売りが強まった。製造業の不調が響いていたようだ。ただ、原油や株価が堅調に推移したことから、カナダも買戻しが強まり、結局、GDP前の水準を上回っている。

目先のカナダのイベントとしては2日月曜日に実施される総選挙。野党連合がハーパー政権が提出した予算案を否決し、議会は内閣不信任案を可決、ハーパー首相は議会を解散した。

最新の世論調査では現在第4党の野党、新民主党が支持率を急速に伸ばしており、非常に拮抗した選挙戦となっている。

新民主党のレイトン党首は、カナダドル高は経済を圧迫するとしており、もし、政権に就けば、カナダ中銀への圧力が、強まるとの見方も出ている。レイトン党首はこの日、政府は金融政策に干渉すべきではないと言いつつも、意見を述べるのは問題ないと語っていた。いずれにしろ総選挙の結果を注目したい。

カナダ円は86円手前まで戻している。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)