総務専門誌を発行する株式会社月刊総務は2021年1月26日、「緊急事態宣言下のテレワークと総務の対応に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2021年1月13日~18日で、自社が発行する雑誌の読者他、全国の総務担当者360名から回答を得た。これにより、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言再発令下でのテレワークの浸透状況や、総務部門におけるテレワークの課題等が明らかとなった。
テレワークの実施率は高いものの、頻度や対象者にはばらつきも
はじめに、再発令された緊急事態宣言の対象地域にある企業の担当者322人に「緊急事態宣言再発令下でテレワークを実施しているか」を尋ねると、「している」が90.1%と、9割がテレワークを実施していることがわかった。また、頻度や程度では「出社日を定めず全社的に実施」が30.1%、「週の出社回数を制限し全社的に実施」が28%、「出社日の定めなく、一部の部署で実施」が22%、「週の出社回数を制限し、一部の部署で実施」が9.9%、「テレワーク未実施」が9.9%となった。
前回の緊急事態宣言下でも、9割近くがテレワーク実施していた
続いて、全員に「前回の緊急事態宣言でテレワークを実施したか」と尋ねた。すると「はい」が88.3%、「いいえ」が11.7%という結果に。このうち、テレワークを実施したとした回答者318人にその頻度や対象者を聞くと、「出社日の定めなく、全社的に実施」が38.1%、「週の出社日を制限し、全社的に実施」が26.1%、「出社日の定めなく、一部の部署で実施」が23.9%、「週の出社回数を制限し、一部の部署で実施」が11.9%となった。
8割が宣言解除後も「テレワークを継続」
また、テレワークを実施したとした回答者318人に「緊急事態宣言後もテレワークを継続していたか」を尋ねると、「出社に戻した」は19.2%にとどまり、解除後もテレワークを継続していた企業が8割にのぼることが判明した。さらに、その内訳は「出社日の定めなく、全社的に実施」が26.7%、「週の出社日を制限し、全社的に実施」が21.1%、「出社日を定めず、一部の部署で実施」が20.4%、「週の出社日を制限し、一部の部署で実施」が12.6%、「出社に戻した」が19.2%となった。
総務部門では「完全にテレワークができる」人はごく僅か
続いて、今回の緊急事態宣言地域でテレワークを実施していると回答した企業の290人に、「総務部門のテレワークの実施状況」を尋ねた。その結果、最も多かったのは「交代制で毎日最低でも1人は出社している」が42.4%、続いて「毎日ではないが交代制で週に数回出社」が34.1%、「毎日出社」が20%という結果に。「完全にテレワークをしている」は3.4%のみだった。
また、「緊急事態宣言中のテレワーク期間に総務が出社する理由」を聞くと、第1位は「郵便物の対応」で86.8%、以下「契約書等の押印」(65%)、「オフィス環境整備」(53.6%)、「代表電話の対応」(50.7%)と続いた。
約7割が新型コロナ収束後も「テレワーク継続」の意向
最後に、現在テレワークを実施している316社に対し「今後のテレワークの方針」について尋ねた。その結果、「新型コロナ収束後もテレワーク制度は継続する」が67.1%と、7割近い結果に。「新型コロナが収束したら原則出社にする」は32.9%にとどまり、テレワーク継続の意向を示す企業の半数程度だった。
「継続的なテレワーク実施のための課題」を自由回答で聞くと、「紙文書も多く、根本的なデジタル化が必要」や「社員間のコミュニケーションと一体感の醸成」、「通信環境やセキュリティレベルの担保」、「業界自体がテレワークを推進していくことが必要」など、さまざまな声が寄せられた。
2020年の非常事態宣言以降テレワークを継続させている企業は多いが、「郵便物の対応」や「書類への押印」等、紙のやり取りのために出社を要する部門は依然として残っており、社会全体でデジタル化を推進していく必要性が浮き彫りになった。各企業で、現状の課題を整理してみてはいかがだろうか。
著者プロフィール HRプロ編集部 採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。 |