「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパン株式会社は2020年11月、「リモートワークに関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2020年10月6日~10日で、主にデスクワーク以外の業務に従事する社員を雇用し、リモートワークを実施していない企業の経営層480人と、主にデスクワーク以外の業務に従事する社員500人から回答を得た。これにより、「テレワーク対応を進められない」という企業内部の実態が明らかになった。

テレワーク未対応企業の7割以上の経営層が今後を不安視

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けてテレワークを進めたという企業もある中、さまざまな事情から「導入できない」という企業も多い。そこで、経営者と社員それぞれの実態意識を訊いた。
まず、経営者側に「新型コロナウイルス感染症が今後も拡大した場合に経営への不安を感じるか」と尋ねると、「不安を感じる」が32.1%、「やや不安を感じる」が44%となり、合わせて76.1%が経営不安を感じていることがわかった。

社員側も8割が「テレワークは困難」と認識

 次に、社員側に「所属企業においてリモートワークを導入できると思うか」を尋ねると、「不可能だと思う」が71%、「やや不可能だと思う」が8.8%となり、合わせて79.8%にのぼった。一方、「やや導入は可能だと思う」と「導入は可能だと思う」とした合計はわずか3.4%にとどまっており、業界や業種によるテレワーク導入の困難さが浮き彫りになった。

約9割の経営層はテレワーク導入に消極的。理由は「テレワーク困難な業務」であるため

 続いて、経営層に「自身の企業における、今後のリモートワーク導入予定」を尋ねた。すると、実に80.2%の経営層が「導入しないと思う」と回答。「やや導入しないと思う」も7.7%で、9割近い回答者がテレワークの導入を見込んでいないということがわかった。

 また、「リモートワークを導入しないと思う」と回答した経営層に、その理由を尋ねた。群を抜いて多かったのは「全社員または一部の社員がリモートワークをできない業務をしているから」で73.9%が回答した。その他、「社員の管理・マネジメントが難しいから(10.9%)、「社員の業務効率が落ちると思うから」(10.7%)などと続いた。

20代社員は他年代に比べ、「テレワーク可能な環境」への転職意欲が高い傾向に

 次に、社員に対し所属企業がテレワークを実施しなかったことで、「現在とは異なる職種や業界への転職意向が変化したか」を尋ねた。全体で最も多かった回答は「変わらない」だったが、全年代で「低下」よりも「向上」の割合が大きい傾向となった。また、年代別に見ると、20代の社員は「やや向上した」(16.9%)、「かなり向上した」(3.6%)と、2割以上が「転職意欲が向上」したと回答しており、全ての年代の中で最も高くなった。

今後を見据え、2割の経営層は「オンラインを活用した新たな取り組み・業務改善」に意欲的

 最後に、経営層に今後の「オンラインを活用した新たな取り組みや業務改善などを行う意向」を聞いた。その結果、「そう思う」(4.4%)、「ややそう思う」(18.5%)と合わせて2割超の経営層は、今後の取り組みに対して前向きな意向を示した。

 オフィス勤務を中心としない企業にとって、テレワークの推進は難しいのが実態のようだ。また、テレワークが行えないことにより転職を考える社員が少なからずいること、将来の経営について不安視する経営層が多いことも窺えた。しかしながら、今後は新常態の働き方の実現に向け、非対面・非接触でも進められる業務を一部切り出すなど、検討を進める必要もあるだろう。

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HRプロ編集部

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