2020年前半は巣ごもり消費やオンライン関連が強かった
個別銘柄に対する物色もコロナ前とコロナ後で大きく変わりました。年前半に強さを見せたのは、巣ごもり消費やオンライン関連などのアフターコロナ銘柄でした。
医療従事者向け情報サイトで製薬会社の情報提供を支援するエムスリーや、オンライン医療関連とされるメドレー、オンライン会議システムのブイキューブなどさまざまなアフターコロナ銘柄が買われました。
巣ごもり消費の広がりで買いだめ需要のあったディスカウントストアの神戸物産やドラッグストア関連株も物色されました。非接触へのニーズでネットショッピング(EC)も好調で物流にも好影響を及ぼし、ヤマトホールディングス(ヤマト運輸などを傘下に持つヤマトグループの持株会社)やSGホールディングス(佐川急便グループの純粋持株会社)などの業績を下支えしました。
2020年後半は製造業や景気敏感株も堅調に
年後半には、ワクチン開発への期待や米中などの景気回復が追い風となり、年前半に苦戦の続いた製造業などの株価上昇が目立つようになりました。
トヨタ自動車などの自動車メーカーは、コロナによる生産停止が続いた影響による在庫の減少、非接触のニーズによる自動車の見直しで買われたほか、鉄鋼や海運、造船などの景気敏感株が株価の割安感もあり、堅調となりました。
また、半導体やクラウド、電子部品などのテクノロジー関連株は年間を通じて強さを見せました。半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンとSCREENホールディングス、半導体の材料となるシリコンウエハーを手掛ける信越化学工業やSUMCOなどの強さも際立ちました。
投資テーマとして、次世代高速通信の5Gや電気自動車(EV)に関連する銘柄も買われました。年末にかけては菅政権による脱炭素宣言や米国で再生エネルギーシフトを打ち出したバイデン新政権の誕生期待で環境関連株も物色されました。
空運、陸運、小売、芸能・イベント関連は低迷したまま
一方、新型コロナウイルスによる感染拡大は続いており、株価が低迷したままの業種もあります。日本航空(JAL)やANAホールディングスなどの空運株、東日本旅客鉄道(JR東日本)や東海旅客鉄道(JR東海)、私鉄各社などの陸運株、百貨店や居酒屋などの小売株、芸能・イベント関連は株価の戻りが鈍く、物色の二極化の鮮明な状況となっています。
これらの株が再び買われるには新型コロナワクチンなどによる経済活動の正常化が欠かせず、今後の焦点となりそうです。