グローバル人材紹介に特化するエンワールド・ジャパン株式会社は2020年12月28日、コロナ禍における「給与・賞与の変化」についての調査結果を発表した。調査期間は2020年11月4日~10日で、外資系企業およびグローバルにビジネスを展開する日系企業269社から回答を得た。これにより、各国に未曾有の事態をもたらしている新型コロナウイルス感染症が、働く人々の報酬にどのような影響を与えたのかが明らかとなった。
「給与カット」実施は1割。最も多いのは「10%以下の削減」
世界的に猛威を振るう新型コロナウイルスは、働く人々の給与や賞与にどのような影響をおよぼしているのだろうか。
はじめに、「新型コロナウイルスの影響によって、従業員の給与カットを行ったか」と尋ねた。すると、「行っていない」とした企業が全体の87%(外資系企業:84%、日系企業:91%)で、全体の約9割にのぼった。一方で、「全社員/管理職以上/経営層以上のいずれかで給与カットを行った」という企業は、全体で10%(外資系:11%、日系:7%)であることが判明した。
また、給与カットを実施した企業に減額割合を聞くと、最も多かったのは「1~10%」で、全体の54%と半数以上だった。次点の「11~20%」には、全体の33%が回答している。なお、外資系と日系の内訳を見ると「1~10%カット」したのは外資系:59%/日系:40%で外資系のほうが多いものの、「11~20%カット」は外資系:31%/日系:40%、「21~30%カット」は外資系:7%/日系:10%となっており、日系企業の方がカット幅が大きいことがわかる。なお、給与の変化については、企業からは次のような声があがった。
・全世界レベルでの昇給停止を実施した(外資系企業/製造業・工業・自動車)
・年次昇給の凍結を実施した(外資系企業/法務・コンプライアンス)
・給与カットを実施するも、その後業績が予想以上に回復したので払い戻した(外資系企業/医療・製薬・ライフサイエンス)
・新型コロナウイルスによる心理的不安を軽減・除去するために、給与の上積みを検討中 (日系企業/製造業・工業・自動車)
「賞与カット」も1割に。カットの場合、最も多いのは「3割以下の削減」
続いて、「新型コロナウイルスの影響による、従業員の賞与(ボーナス)カット実施の有無」を尋ねた。その結果、「行っていない」とした企業の方が多く、全体の72%(外資系:71%、日系企業:74%)にのぼった。
賞与カットに踏み切った企業(「全社員を対象」、「管理職以上を対象」、「経営層を対象」の合計)は、全体の11%(外資系、日系とも11%)となった。また、役職に関わらず、全社員を対象に実施した企業は全体のうち10%(外資系:10%、日系:9%)で、管理職以上を対象に実施した企業よりも多い。さらに、「これから行う予定」も全体の6%(外資系:6%、日系:5%)いることがわかった。
さらに、「賞与カットを実施した」とした企業にカット幅を聞くと、最も多かったのは「11~30%」(外資系:19%、日系:20%)だった。また、この件に関して企業からは、次のようなコメントが寄せられている。
・グローバル全体での会社業績が予想を上回る結果となったので、臨時一時金を支給した(外資系企業/医療・製薬・ライフサイエンス)
・特定の評価の社員を除く、社員全員の賞与カットを実施した(外資系企業/IT・通信)
・今期の業績次第で決定する予定(日系企業/IT・通信)
給与・賞与とも、現段階で実際にカットを行ったのは、それぞれ1割の企業であることが明らかとなった。収束の目途が立たない新型コロナウイルス感染症の状況を、今後も慎重に見守りつつ、企業運営に向けて戦略を立てる必要がありそうだ。
著者プロフィール HRプロ編集部 採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。 |