29日のロンドン市場は、ドル安が進行した。英ロイヤルウェディングで英株式・債券市場が休場となる薄商いのなかで、ドルスイスが大幅安となったことがドル安の動きを広げた。スイス中銀のヒルデブランド総裁は、インフレはかなりの上昇リスクがある、との警戒姿勢を示し、物価安定のために必要な措置をとる用意がある、と今後の利上げを示唆する発言を行なった。ドルスイスは0.8730近辺から0.8645レベルまで下落、史上最安値を記録した。各主要通貨にもドル安の動きが広がった。ユーロドルは1.48台前半から1.4880近辺へ、ドル円は81円台後半から81.10近辺へとドル安が進んでいる。ユーロにとっては4月のユーロ圏消費者物価指数・概算速報が前年比2.8%と市場予想2.7%や前回3月の2.6%を上回ったことがECBの利上げ路線への思惑を呼んだ面もあった。豪ドル/ドルも1.09台後半に上昇、変動相場制導入来の高値を記録した。ドル・インデックスは72台後半と3年ぶりの低水準となった。金先物も1541.00ドルと最高値を更新した。
◆ポンドは振幅、クロス取引活発で
ポンド相場は激しく振幅した。序盤は、英ロイヤルウェディング当日とあって祝賀ムードからポンド買いの動きがみられた。慶事が英国の消費者信頼感にプラスとの見方もあった模様。しかし、スイス買いの影響を受けてポンドスイスが大きく下げるとポンド相場は下げに転じた。ポンドドルは1.6690レベルまで上昇後、1.6640割れまで反落、その後はレンジ内で振幅している。ポンド円は一時136円台に乗せたものの、135円台前半へと反落。ユーロポンドは0.8900近辺から0.8940近辺での上下動となっている。ドル安が進行するなかで、ポンドはやや方向感の定まらない相場展開だった。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)