2019年の「桜を見る会」で新宿御苑の会場を走り回る安倍首相(当時)(2019年4月13日、写真:つのだよしお/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 2020年は本当に酷い年だった。今年の正月には、こんな事態はまったく想定していなかった。と言うより私が生きている間に、新型コロナウイルスによって、恐怖のどん底に落とされることなど予想だにしなかった。長く生きているといろんなことがあるものだ。どんなに嫌でも受け入れるしかない。

 政治も酷いものだった。「度し難い(どしがたい)」という言葉がある。「どうしようもない。救いようがない」といった意味だ。これに当てはまる政治家が今年もやはり多かった。思いつくままにあげてみる。

収賄容疑の吉川貴盛元農水相

 農水相時代に、鶏卵生産・販売大手の「アキタフーズ」から500万円の現金を受け取っていたということで、東京地検特捜部と広島地検が収賄容疑や政治資金規正法違反容疑で関係先の家宅捜索もすでに行っている。この問題が明るみに出るとすぐに衆院議員を辞職した。体調不良を理由にしてはいるが、それは表向きだろう。元農水相の西川公也内閣官房参与にも金が渡っていたという疑惑が出て、辞職に追い込まれた。

 鶏が狭いケージに閉じ込められ、ひたすら卵を産み続けさせられるという残酷な環境をテレビなどでよく見る。その都度、「酷い飼い方だな」と思ったものだ。バタリーケージというらしいが、B5判程度の広さしかない。だがこの飼い方は、世界基準と大きく違うものだった。EUでは禁止されている。世界では、動物のストレスを減らす飼育方法を目指すアニマルウェルフェア(AW)の国際基準があるのだが、日本の鶏卵業界団体はこの基準の強化に強硬に反対してきた。吉川氏らへの献金はそのためのものだったという。