④はじめに価格が下落した後、上昇するパターン

 今度は反対に、2、3回目の投資で価格が下落したあと、4、5回目の投資では価格が上がった場合、つまり2回下落して2回上昇したときのシミュレーションです。

〈価格の動き〉
価格の動き4

〈平均取得価格と合計株数〉

  1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均取得価格/
合計株数
価格 10,000 9,500 9,000 9,500 10,000 9,585
株数 1.00 1.05 1.11 1.05 1.00 5.22

投資終了時の資産額=52,200円(+4.4%)

 購入株数は、5.22株、平均購入価格は9,585円。投資終了時の資産額は52,200円(10,000円×5.22株)となり投資元本を上回りました。

 ③の上昇→下落と、④の下落→上昇のパターンはともに、投資終了時(5回目)の価格は10,000円と同額になります。しかし、投資期間全体を通して購入できた株数の違い(③は4.81株、④は5.22株)により、終了時の資産額に差が出ていることがわかります。

⑤上昇・下落を交互に繰り返すパターン(下落スタート)

 次に、価格が上昇と下落を繰り返すパターンを見ていきましょう。まずは「下落→上昇→下落→上昇」と、下落からスタートする場合です。

〈価格の動き〉
価格の動き5

〈平均取得価格と合計株数〉

  1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均取得価格/
合計株数
価格 10,000 9,500 10,000 9,500 10,000 9,794
株数 1.00 1.05 1.00 1.05 1.00 5.11

投資終了時の資産額=51,100円(+2.2%)

 購入株数は5.11株、平均購入価格は9,794円。終了時の資産額は51,100円(10,000円×5.11株)となり、投資元本を上回ります。

⑥上昇・下落を交互に繰り返すパターン(上昇スタート)

 今度は「上昇→下落→上昇→下落」と、価格の上昇からスタートする場合です。

〈価格の動き〉
価格の動き6

〈平均取得価格と合計株数〉

  1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均取得価格/
合計株数
価格 10,000 10,500 10,000 10,500 10,000 10,194
株数 1.00 0.95 1.00 0.95 1.00 4.90

投資終了時の資産額=49,000円(-2.0%)

 購入株数は4.90株、平均購入価格は10,194円。終了時の資産額は49,000円(10,000円×4.90株)となり投資元本を下回りました。

株価が下落し続ける相場では、ドルコスト平均法は効かない
  平均購入価格 購入株数 資産価格 損益
① 上昇のみ 10,954 4.56 54,720 4,720
② 下落のみ 8,944 5.59 44,720 -5,280
③ 上昇後下落 10,387 4.81 48,100 -1,900
④ 下落後上昇 9,585 5.22 52,200 2,200
⑤ 下落上昇下落上昇 9,794 5.11 51,100 1,100
⑥ 上昇下落上昇下落 10,194 4.90 49,000 -1,000

 以上6つのパターンで購入株数や平均購入価格、投資収益を見てわかることは下記の通りです。

  1. 「①上昇のみ」のケースでは、購入株数が少なくても損益はプラスになった。一方で、「②下落のみ」のケースでは購入株数が多くても収益はマイナスになり、ドルコスト平均法の効果が見られない
  2. 価格が上下する③~⑥のケースでは、「平均購入価格<5回目の価格」では損益がプラス、「平均購入単価>5回目の価格」では損益がマイナスになる