日経平均の銘柄を採用する基準は「流動性」
日経平均株価は、日本経済新聞社が独自の基準に基づいて選んだ225社の株価の平均を示すインデックスです。
この日経平均の銘柄を採用する基準は、「流動性」にあるようです。
流動性とは、「取引(=売買)が活発に行われているか」ということです。
日経平均に採用されている銘柄、例えば、JR東日本(=東日本旅客鉄道)の場合ですと、11月2日の1日の出来高(取引が成立した株式数)は、「1,943,700株」です。しかし、筆者が先月買った、日経平均には採用されていない某IT系の銘柄の出来高は「19,800株」しかありません。
もちろん、わずか2銘柄だけを比べて語るのは無理がありますが、この2銘柄の出来高を比べると、100倍近い差があるのが分かります。
出来高が多いということは、取引が活発、つまり流動性が高い銘柄だといえます。ですので、出来高を見れば、「流動性が高い・低い」の違いを数字でイメージすることができますよね。
出来高は、インターネットの株価情報サイトで簡単に確認できます。
ところで、この流動性は、なぜ大切なのでしょうか?
流動性が高いということは、たくさんの人がその銘柄を売買しているということなので、「知名度が高い」ともいえそうです。実際に、日経平均に採用されている銘柄を見ると、誰もが知っている大企業ばかりです。
が、大切なのは知名度だけではありません。
もし、流動性が低いとどうなるか?
詳しい仕組みについて説明は省きますが、流動性が低い、つまり普段あまり売買が行われない銘柄は、ある日、ある時にだけ大量の買い注文が入ると、まるで最大瞬間風速のように株価が跳ね上がることがありますし、その逆のこともありえます。
逆に、流動性が高ければ(流動性が低い銘柄に比べ)株価が安定しやすい、という傾向もあります。
日経平均は、この流動性をもって、銘柄を選ぶ基準にしているようです。
ところで、NYダウは、銘柄をどのように選んでいるのでしょうか?
NYダウの銘柄を採用する基準は「現代の産業をけん引する企業」
NYダウはダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)と言い、元々は、ニューヨーク証券取引所に上場していた鉄道系の銘柄で構成されていたようです。
しかし、現在のNYダウに採用されている銘柄には、例えば、日本でもお馴染みのマクドナルドがありますが、マクドナルドは外食産業であって、さすがに工業株とは言えないですよね。ニューヨーク証券取引所には上場していますが。
それから、アップルやマイクロソフトも、NYダウに採用された銘柄ですが、コンピュータやソフトウェアの企業で、やはり工業株には該当しませんし、そもそも上場しているのはニューヨーク証券取引所ではなく、ナスダックという別の株式市場です。
どういうことなのでしょうか?
NYダウは、当初こそ、先ほど申し上げた通り、工業株のみを30銘柄、選んでいたようです。
しかし現在では、工業株はむしろ少なくなっている印象です。
NYダウは、時代に合わせて入れ替えが行われています。採用する銘柄を選ぶ基準は、収益性や成長性に優れ、また財務的基盤も磐石な、現代の産業をけん引する世界のリーディングカンパニーです。
ちなみに、NYダウに採用されるような優良銘柄のことを「ブルーチップ銘柄」とも言うそうです。語源は定かではないようですが、ブルーといえば、「競争相手が少ない未開拓の市場」を指す「ブルーオーシャン」もブルーですよね。