職場の換気は、職場内で新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために欠かせません。では自分たちの職場の換気が足りているのかどうかは、どのように判断すればいいのでしょうか。今回は換気状況の簡便な測定方法と、感染防止策への反映方法をご提案します。

なぜ“換気”にこだわるのか まずはおさらいから

 2020年は、新型コロナウイルスに始まり新型コロナウイルスで終わる1年となりそうです。この病気は人類にとって未知の病でしたが、ここにきて色々なことが判明してきています。産業保健分野においても、特にオフィスで重要だと思われることがわかってきました。それは「換気」の問題です。新型コロナウイルスの感染者がいない、また過去にも利用したことがない部屋の中で、感染が広がることはまず考えられません。しかし、その場に感染者がいる場合、換気が悪ければ同時に多くの人に感染させる危険があります。

 現在までの科学的知見によれば、他人への感染力は症状が出る直前が一番強く、また感染している人の飛沫や呼気から他人に伝染させるルートがメインだとされています。これは非常に重要な注意点です。例えば、症状が全くない元気な5人が同じ部屋にいたとします。それでも中の一人が、本人も気がついていないが実はすでに新型コロナウイルスに感染していた場合、換気が悪ければ残り4人全員が感染することすらありえます。逆に言えば、換気がしっかりされている空間であれば、このようなクラスター発生をある程度防止できるということです。

 以上のことから、職場の換気を良くしようというアドバイスは皆さん何度もお聞きになっているかと思います。では、自分たちの職場の換気が十分かどうかは、どうやったらわかるのでしょうか。鍵となるのは室内の「二酸化炭素濃度」です。