NYダウは30年間で10倍以上に上昇

 株価指数も同様に差がついています。日本の個人投資家にもっとも馴染みの深い日経平均株価の史上最高値は1989年につけた3万8915円ですが、30年後の直近でも2万5000円を下回っている状況です。

 対して米国ニューヨーク証券取引所に上場する主要な企業で構成されるダウ工業株30種平均(NYダウ)は、1989年末におよそ2700ドル台でした。その後、ITバブル崩壊やリーマン・ショックなどの波乱による上下を繰り返しながらも右肩上がりの上昇が続いています。コロナ後の直近でも2万8000ドルと、NYダウは30年間で10倍以上に上昇しています。

 米国は、長期にわたり労働者の賃金がゆるやかに伸び続け、消費も同様に伸びています。内需に支えられた経済の成長や企業の収益力が株価を支えてきたといえるでしょう。

【図表2】1990年以降のNYダウの推移(日足、終値)
1990年以降のNYダウの推移出所:市場データよりMonJa作成

米国株を含めた外国株投資の注意点とは?

 このように、米国株への投資には多くの魅力があります。では、米国株を含めた外国株投資を始める際に気を付けなければいけない点は、どのような点でしょうか?

注意点1 為替リスクがある

 例えば米国株への投資では、手持ちの円をドルに両替をして投資を行うため、株価変動などのリスクのほかに為替変動によるリスクがあります。

 円高の時点で円をドルに変えて投資をして、円安・ドル高のときに円に戻すと為替差益を得ることができます。逆に両替したタイミングよりも円高・ドル安が進むと為替による差損が発生してしまいます。

 ただし、現在ではほとんどの証券会社で株式の取引時に外貨をそのまま保有することができます。株式の売却時が円高なら、ひとまず外貨のまま保有して円安・ドル高になるのを待つ手もあります。

注意点2 日本株投資より手数料が高め

 証券会社にもよりますが、外国株投資は現地の証券会社に注文を取り次いだりする関係上、日本株投資よりもコストが高めになります。また、外貨の両替時にも手数料がかかる場合があります。取引の回数が増えると投資のリターンの差となってしまいますので、手数料は留意したいポイントです。

注意点3 情報開示が不十分なケースも

 米国株の主要な企業であれば情報開示も充実していますが、外国企業はまだまだ情報開示が不十分であることも多く、その多くは英語などの外国語で表記されます。証券会社などの投資情報も充実してきてはいますが、日本からの投資では、まだまだハンディがあるという点には留意したいところです。