ロッテの井口資仁監督。写真は2017年9月、古巣ホワイトソックスの始球式に臨んだ時のもの(写真:AP/アフロ)

 神風を呼び込むか。千葉ロッテマリーンズが10月7日のオリックス・バファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)に4―1で勝利した。

 前日6日には一軍選手の7人が新型コロナウイルスへの感染を示す陽性反応となり、22人もの選手入れ替えを余儀なくされていた。そして、この日も一軍メンバーの岡大海外野手が管轄の保健所から濃厚接触者として追加で特定されて戦線から離脱。残り30試合を切る中、現在パ・リーグ2位の座から首位・福岡ソフトバンクホークスを僅差で追う立場のチームとしては、あまりにも最悪過ぎるタイミングでのマイナス材料だ。

 それでもチームは前日6日に2安打完封負けとなった悪いムードを払しょくするかのような白星を手にし、逆転Vへ向けて気勢をあげた。総力戦と評すべき内容で選手たちは一丸となり、この日敗れたホークスとの差を1ゲームに縮めた。もしロッテが不利な状況を乗り越えてホークスを抜き、最終的に15年ぶりのリーグ優勝を果たしたら「ミラクルV」として後世に語り継がれるだろう。

サガン鳥栖は感染者10人の段階でクラスター認定されたが・・・

 大幅な戦力ダウンを強いられながらも、残された他のメンバーたちが逆にピンチをチャンスに変えようと猛奮起し、信じられないような力を発揮して勝ち星を積み上げていく――。ロッテファンの誰もが、このようなVシナリオの現実化を願ってやまないだろう。コロナ禍で閉塞感漂う世の中の多くの人たちも「何とかウイルスに負けないで奇跡を起こしてほしい」とロッテに肩入れし、応援する声は大勢を占めているようだ。

 今年はプロ野球界において同じように所属選手複数の感染者を出す例が阪神タイガースで2度も起こっていた。しかしながら2度の例でいずれも選手たちが球団内での取り決めを破って感染した阪神と違って、ロッテの場合は誰もが内規を厳守していた中で不幸にも罹患者を出してしまった案件だ。そういう背景もあって、世論の多くがロッテに対して同情的になっている。