レバンガ北海道は絶対に「売らない」

 それは、わたしたちが投資に値するという評価であるから、ひとつの成功だ。

 それでも、わたしは簡単には売らないだろう。

 それがいくら大きな金額であっても、だ。

 このチームには歴史がある。

「北海道」に支えられて存続してきたという歴史だ。

 母体となる企業を持たずに立ち上がった。消滅という悲劇も経験した。それでも「いま」があるのは、本書で何度も書いてきたように、地域の企業、そして「人」と「思い」が支えてくれたからに他ならない。

 つまりそれは、レバンガが「道民のみんなのチーム」であることも表している。誰のものでも、どこの会社のものでもないのだ。

『北海道から「人」に「社会」に感動を届け、世の中を笑顔にする。』という企業理念は、そのためにある。

 何より、これからわたしたちは、恩返しをしていかなければならない。

 レバンガ北海道の立ち上げから9年間、ずっと助けられてきた。「北海道」に〝おんぶに抱っこ〟だった。これは絶対に「返す」。最後まで責任を持ってやり抜く。

 まずは、勝つこと。大資本が入ることで、チーム間の〝格差〟は広がっていくかもしれないが、そこで勝つ方法を見つけ出すことが、わたしの大きな仕事になる。

 勝つことは、チームの価値を上げることに繋がり、スポンサードしてくれている企業への恩返しに直結する。ブースターも喜んでくれるだろう。北海道が一丸となって大きなチームを倒す。これほど面白いことはない。

 M&Aという大きな波が起きている中でも、いままで以上に地域に密着し、クラブを成長させていく。この決意に揺るぎはない。