新型コロナウイルス感染症の流行などで世界経済が動揺する中で、ビットコインをはじめとする仮想通貨(暗号資産)が注目を集めています。本連載では、仮想通貨の仕組みや特徴はもちろん、資産運用での活用法にいたるまで、わかりやすくお伝えします。第1回は「そもそも仮想通貨って何?」というテーマで、仮想通貨の起源や存在意義について説明します。
【監修】
FXcoin 代表取締役社長
大西 知生氏
慶應義塾大学経済学部卒業後、東京銀行へ入行。ドレスナー銀行、JPモルガン銀行、モルガン・スタンレー証券、ドイツ銀行グループを経て、2018年に仮想通貨取引所のFXcoinを設立。2017年まで東京外国為替市場委員会副議長、同Code of Conduct小委員会委員長に従事。『J-MONEY』誌において2008年、2011~13年、2017年にテクニカル分析ディーラー・ランキング第1位を獲得する。経済学博士。
買い物にも使える仮想通貨
「仮想通貨」「ビットコイン」という言葉を聞いたことがないという方は、おそらく一人もいないのではないでしょうか。一方で、仮想通貨がどういう資産なのか、正しく理解している方は決して多くないと思います。ビットコインを知っている方も、「値動きが激しくて怖い」というイメージが強く、仮想通貨を買うことをギャンブルのようにとらえている方もいるかもしれません。
仮想通貨は、法律上は「暗号資産」と呼ばれます。仮想通貨(暗号資産)は、「資金決済に関する法律」において次のように定義されています。
【暗号資産の定義】
(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない
出所:日本銀行ホームページ
(1)にあるように、「代金の支払い等に使用」できるので、仮想通貨は「通貨」と名付けられ、お金の一種とみなされているわけです。実際に、数こそ少ないですが、ビットコインで商品を買えるお店もあります。有名なところでは、家電量販店のビックカメラがビットコインでの決済に対応しています。
(3)の意味は、「仮想通貨は、電子マネーやキャッシュレス決済とは違う」ということです。交通系ICカード(SuiCaやICOCAなど)やポイントでの決済、あるいは「デジタル通貨」と呼ばれるものは、お店で現金の受け渡しを行わないので、一見すると仮想通貨の一種に思われるかもしれませんが、結果的には日本円や米ドルなどで代金を支払うことになるので、これらは仮想通貨ではありません。