連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第18回。
オンラインがメインで開かれた集中治療医学会。そこで“無観客”講演を行った讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が、学会の意義をあらためて考える。
9月6日、第4回日本集中治療医学会関東甲信越支部学術集会が開催されました。いわゆる“学会”です。ビジネスや学校教育の現場など、社会全体が新型コロナウイルス感染症によって変容を余儀なくされたのと同様、今回の学会は例年とはまったく異なる形となりました。
ビフォー・コロナの学会は、大きな会場に多数の医療従事者が集まって“密”な状態で開かれていました。しかし新型コロナウイルスの感染が拡大した3月以降、多くの学会が中止あるいはWeb配信のみのオンライン形式での開催になりました。9月6日のわれわれの学会は、リアル対面形式とオンライン形式を組み合わせたハイブリッド形式を採用しましたが、実際に会場に来る医療従事者は少なく、ほとんどの方はオンライン経由での参加でした。
学会の3つの意義
私自身は会場のパシフィコ横浜ノースに足を運んで講演や座長を務めたのですが、聴衆は広い会場にポツンポツンといるだけでした。その際にあらためて考えさせられた学会の意義をまとめてみたいと思います。
・・・その前に、そもそも学会とはどのようなものなのでしょうか(Wikipedia参照)。「△△先生、〇月×日は学会出席のため休診いたします」という貼り紙を病院でご覧になったことがある方は多いでしょう。病院の診療科は、内科、外科、整形外科、耳鼻咽喉科・・・というように分かれていますが、それぞれに学会があります。さらに、たとえば内科なら消化器内科、呼吸器内科、循環器内科など細分化された専門分野ごとに学会があります。しかも、たとえば消化器内科だけでも、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会、日本消化管学会、日本消化吸収学会、日本高齢消化器病学会、日本神経消化器病学会など、臨床や研究テーマごとに大小さまざまな学会があり、小さい研究会まで含めると星の数ほどあると言ってもよいでしょう。
各学会は、全国規模の本会(全国集会)と地方ブロックごとの支部会(支部集会)があり、どちらも1年に1回開かれ、学会によっては医師だけでなく看護師や薬剤師、臨床工学技士、管理栄養士などのメディカル・スタッフも参加します。前述のとおり、ビフォー・コロナではそれら参加者が一堂に会するのが学会の当たり前の姿でした。