5月に訪米し、ポンペオ国務長官と会談した菅官房長官。米国ではポスト安倍の筆頭と目されていた(写真:AP/アフロ)

 自民党総裁選に勝った菅義偉官房長官は、9月16日の衆参両院での首班指名を受けて組閣に入る。

 総裁選では、安倍路線の踏襲に対する批判とともに、外交経験のなさへの指摘が目立った。また、岸田文雄政調会長の地元広島を背景とした非核の思想、石破茂衆院議員のアジア版NATO構想など、安全保障面を含めた点でも劣後するような報道があった。

 日本では、小泉純一郎首相も外交経験はほとんどどなかった。通産大臣になった直後の田中角栄元首相も外交(通商交渉)経験はなかったが、どちらも日本にとって重要な足跡を残している。

 海外でも、米国ではレーガン大統領、クリントン大統領、ブッシュ(子)大統領、旧ソ連のゴルバチョフ書記長、ドイツのメルケル首相など、基本的には外交経験はほとんどないリーダーが外交を熟してきた。

 つまり、経歴としての外交経験の有無などは外野が議論するだけのことで、実務的に重要だとは言えない。